食後、増家の持ってきた、チューブに入ったアイスを食べた。「なにを勝手に冷凍庫まで使ってるんだ」と言えば、「あんまり物入ってねえなとか言わねえしいいじゃんか」と彼は笑った。その言葉には「余計なお世話だ」と、差し出されたそれには礼を言ってアイスを受け取った。「おいしいところ要るか?」と、チューブの外した先を差し出す増家へ、「持ってる」と返した。

 「そんじゃ、おれは帰るわ」言いながら、彼はキッチンに残していたビニール袋を手に取った。「そう」と頷けば、「寂しいか?」と返ってきたので、「全然」と瞬時に返す。

 「ま、アイスは開けてない袋もう一個入ってっから、風呂上がりにでも食えや」

 「それはどうも」

 「おれ様の優しさの余韻だ」

 「はいはい。……優しさとか自分で言わなければいい人なのに」

 「誰も言ってくれないから自分で言うしかないんだよ」悲しいだろ、と増家は笑う。

 「そんじゃ」と言って振り返り、「ちゃんと寝ろよ」と穏やかな笑みを見せる。いつの話をしてるんだと言い返すかとも思ったが、増家はそれを知らないはずだった。「うん」と適当に思えた声を返し、「気を付けるわ」と言う彼へ「気を付けて」と苦笑する。