彼女から連絡がきたのは、翌日のことだった。呼び鈴に玄関を開け、「やあ」と声を発せば、彼女は「どうも」と会釈する。彼女を招き入れ、僕は応接間へ向かう。静かな足音がついてくる。

 「外は今日も暑そうだね」

 「ええ。真夏日です」

 「君は? 結構近くに住んでるの?」

 「そんなに遠いとは思ってないです」

 「そうなんだ」

 僕は応接間のドアを開けた。「なに飲む?」と振り返ると、彼女は「ココア」とはにかむような笑みを浮かべる。「かしこまりました」と返し、「適当に掛けてて」と残してキッチンへ向かう。