好きなことをして、楽しく自由に生きる術――。好きに生きることを拒む物事に打ち克つ強さがあればいいのだろうが、それを得るには――。創作物の登場人物のように動いて、果たして自由に生きることはできるのだろうか。尤も、この世界で創作物の登場人物のような言動を取ること自体、易いことではないように思える。

 好きなことをして生きる――。わたしとは遥かな距離があり、ある種のファンタジーのように思える。そんなことはできるはずがないと、どこかに諦めのようなものがあるのかもしれない。実際、本当の意味で好きなことをして生きている人はどれほどいるだろうか。物事には必ず、光が当たっている面と陰っている面があると聞いたことがある。どれだけ望ましいものに見えても、必ずどこかしらにお呼びでない要素を孕んでいるのだ。

 人生山あり谷あり――。もう少し達観できれば、山と谷のコントラストが美しいなどと本気で言えるようになるのだろうが、今のわたしには難しい。