ナオさんに連絡をしたのは、ほんの数日後のことだった。今回返ってきた文字に文学の静かな語りは聞こえなかった。
四分袖の丈の短い白いティーシャツにハイウエストのジーンズを穿いて、桜色のバッグと、借りたCDの入った紙袋を持って家を出る。
ナオさんは縁側におり、先日完成したまりを持っていた。糸で描かれた鳥が羽ばたくように動く様は圧巻であった。
彼はわたしに気づくと、「やあ」と笑みを見せた。「今日も暑いね」と言う彼は、わたしが近づくと「なに飲む?」と問うた。「ココアで」と答えると、「了解」と言って軽快に立ち上がる。わたしが頼んだのはココアだし、まりも完成しているが、残された状況は先日によく似ていた。足元には畳草履、縁側には冷茶グラスと辛そうなおかき。辛い物が好きなのだろうかと想像する。では、グラスに注がれた無色の液体は水と考えるのが自然か。
「お待たせ」と戻ってきたナオさんは、グラスの他、ウエハースの載った皿もお盆から下ろした。「わあ」と声を漏らすと、「一昨日かな、友達が持ってきてくれたんだ」とナオさんは言う。
ふと思い出して「土踏まずの痛い人ですか?」と笑い返すと、「正解」と彼は笑った。
「すごいですね、中学生の頃からまだ付き合いがあるなんて」
「友人関係は狭く深くを心に留めてるから」
「素敵ですね」
「光栄の至り」と、ナオさんは照れたように笑う。
いただきますと口に含んだココアは、どこか懐かしいような甘みを持っていた。「おいしい」
「よかった」
わたしはウエハースをかじった。「好きだなあ」と、自然と声になった。
四分袖の丈の短い白いティーシャツにハイウエストのジーンズを穿いて、桜色のバッグと、借りたCDの入った紙袋を持って家を出る。
ナオさんは縁側におり、先日完成したまりを持っていた。糸で描かれた鳥が羽ばたくように動く様は圧巻であった。
彼はわたしに気づくと、「やあ」と笑みを見せた。「今日も暑いね」と言う彼は、わたしが近づくと「なに飲む?」と問うた。「ココアで」と答えると、「了解」と言って軽快に立ち上がる。わたしが頼んだのはココアだし、まりも完成しているが、残された状況は先日によく似ていた。足元には畳草履、縁側には冷茶グラスと辛そうなおかき。辛い物が好きなのだろうかと想像する。では、グラスに注がれた無色の液体は水と考えるのが自然か。
「お待たせ」と戻ってきたナオさんは、グラスの他、ウエハースの載った皿もお盆から下ろした。「わあ」と声を漏らすと、「一昨日かな、友達が持ってきてくれたんだ」とナオさんは言う。
ふと思い出して「土踏まずの痛い人ですか?」と笑い返すと、「正解」と彼は笑った。
「すごいですね、中学生の頃からまだ付き合いがあるなんて」
「友人関係は狭く深くを心に留めてるから」
「素敵ですね」
「光栄の至り」と、ナオさんは照れたように笑う。
いただきますと口に含んだココアは、どこか懐かしいような甘みを持っていた。「おいしい」
「よかった」
わたしはウエハースをかじった。「好きだなあ」と、自然と声になった。