自宅に着くと、兄は着替えや手洗いもそこそこに、リビングの隅にあるデスクトップの電源を入れた。兄弟にとって、自宅で調べ物ができるものはこれしかない。

 検索エンジンを開き、“エイダとアデラの祓魔奇譚”の文字を検索にかける。結果の一番上から何番目かの情報サイトを開き、内容に目を通す。次のようなものだ。

「エイダとアデラの祓魔奇譚(えいだとあでらのふつまきたん)は、こりすによる日本のライトノベル。略称はエイアデ、祓魔奇譚など。作者はフツマキと呼んでいる。イラストはあらくまが担当。2005年8月から刊行され、翌年4月にはテレビアニメ化された。原作小説のシリーズ累計発行部数は2008年12月現在で1600万部を超えている。」――。

 友人やカーキが話していたのが原作の方かアニメの方かわからないが、とにかく相当な人気作品らしい。兄は唐辛子のカーソルを原作者のペンネーム、「こりす」の文字に合わせ、クリックした。

「こりす(1980年8月27日‐)は、日本の小説家。北海道留萌市出身。性別非公開。
趣味はキャンプ、ゲーム全般、ギターやピアノでの弾き語り。特技は、テントを素早く張ること、神経衰弱(トランプ)、算盤。キャンプを好きになったきっかけとして、短大在学中、数名の友人と天体観測を目的に、河原に張ったテントで一夜を過ごしたエピソードを語っている。神経衰弱の腕前にはかなりの自信があり、段級位制があれば八段の称号をとれると思うと語る。」――。

 兄はページを戻って、「あらくま」の文字をクリックした。

「あらくま(1982年3月10日‐)は、日本のイラストレーター、漫画家。秋田県横手市生まれ、青森県八戸市育ち。女性。
幼少期より絵を描くのが好きで、「五歳くらいの頃からよく漫画みたいなものを描いていた」という。初めて描いた漫画の題名や内容は今でも覚えており、「あめのみな」。「あめの」は「雨の」、「みな」は主人公の少女の名で、内容は、雨や雨具が好きな少女の日常を描いたものだという。イラストレーターとしてのペンネーム、あらくまは、好きな動物であるアライグマに由来する。
趣味はアンティーク雑貨集め、特技は格闘ゲーム。小説家のこりすは遠縁に当たる。」