陽が落ちるのがいやに長く感じられた。待てども待てども陽は高く、空は青いままだった。カーキ宅の庭には、西洋のある庭に設置されていそうな、白いベンチブランコがあるが、その陰の位置も変わらない。
兄の手元の小さな画面に、「1st」の文字が表示された。友人三人の画面には、それぞれ「2nd」、「3rd」、「4th」と表示されているはずだ。「ああ負けた」と友人の一人が声を上げる。もう一方の友人は、「お前弱すぎ」と笑う。「うっせ、お前もどうせ一番じゃねえだろ」と、言われた友人は笑い返す。
「よしおっけ、次は絶対負けねえし、もう一回な。ラストラスト」
「お前そう言っていっつも五回はやんじゃん」
「いいや。……今までのおれだと思ってくれちゃあ困るぜ」
おお覚醒したか、と友人はぼそりと笑う。カーキは呆れたように小さく笑う。
「おれはなあ、貴様を倒すためだけに、毎日毎日、春夏秋冬、一年三百六十五日、鍛錬を積んでるんだ。おれはあの日、決めたんだよ。敵をっ、お前を討つとっ……」おれの、と友人は声を張り上げると、今度は「おれの……」と声量を一気に落とす。「あの日のおれの、敵を討つと……そして……」
「はい始めまーす」と、カーキがゲーム機を操作する。それを合図に、皆の手元の画面が変わった。「最後まで言わせろよお」と笑う友人へ、カーキは「長いんだよ」と短く返す。
兄の手元の小さな画面に、「1st」の文字が表示された。友人三人の画面には、それぞれ「2nd」、「3rd」、「4th」と表示されているはずだ。「ああ負けた」と友人の一人が声を上げる。もう一方の友人は、「お前弱すぎ」と笑う。「うっせ、お前もどうせ一番じゃねえだろ」と、言われた友人は笑い返す。
「よしおっけ、次は絶対負けねえし、もう一回な。ラストラスト」
「お前そう言っていっつも五回はやんじゃん」
「いいや。……今までのおれだと思ってくれちゃあ困るぜ」
おお覚醒したか、と友人はぼそりと笑う。カーキは呆れたように小さく笑う。
「おれはなあ、貴様を倒すためだけに、毎日毎日、春夏秋冬、一年三百六十五日、鍛錬を積んでるんだ。おれはあの日、決めたんだよ。敵をっ、お前を討つとっ……」おれの、と友人は声を張り上げると、今度は「おれの……」と声量を一気に落とす。「あの日のおれの、敵を討つと……そして……」
「はい始めまーす」と、カーキがゲーム機を操作する。それを合図に、皆の手元の画面が変わった。「最後まで言わせろよお」と笑う友人へ、カーキは「長いんだよ」と短く返す。