……だけど、次に放たれた先輩の言葉で、そんな気持ちはどこかへ飛んで消えた。
「解いてやるよ。お前の呪いなんか」
「え……?」
「いつか話せよ。そういう呪いは、誰かに話したときに消えてなくなる。……だから、解きたくなったら、話せ」
……瀬名先輩は時折、キラキラ、まぶしすぎて困るよ。
そんな言葉、どうして自信満々に言えるんだろう。まるで魔法使いみたいに、簡単に。
でも、なぜだろう。
瀬名先輩が言うと、本当のことのように聞こえてくるんだ。
このまま話したら、すべての呪いを解いてくれるんじゃないかって。
胸がきゅうっと苦しくなって、私はなぜか、少しだけ泣きそうになっていた。
この感情は、なんだろう。
瀬名先輩を見ていると、泣きたくもないのに涙が出てきそうになる。
彼の存在が自分とは真逆でまぶしいから? ……分からない。苦しい。
光のある方向に瀬名先輩がいる気がするなんて言ったら、彼はどんな顔をするだろうか。
泣きそうな顔で黙っている私を見て不安になったのか、瀬名先輩がピアノの演奏を止めて私の顔を覗き込んだ。
瀬名先輩の黒い瞳が、臆病な私のことを映し出す。
「……何、どうした?」
「な、なんでもないです……」
「なんでもなくないだろ、その顔。理由を言え」
しばしの沈黙が続いた。
しかし、この質問に答えないと、この沈黙は終わらないことを察知した私は、言葉にならない感情をそのまま口にしてしまった。
「せ、瀬名先輩見てると、たまに、苦しくなるんです……まぶしくて」
「なんだそれ」
「ドキドキするのに切なくて……。先輩のこと見てたいけど、見たくない……。もうよく分からないんです、こんな感情……」
そのまま思っていることを伝えると、瀬名先輩は無表情のまま固まっていた。
それから、ぐっと私の肩に片手を回して、視聴覚室のときみたいに乱暴に私を抱き寄せた。
瀬名先輩の唇が耳のすぐそばにあって、吐息が鼓膜を震わせる。
すべての時間が止まったように思えるほど、私は理由も分からずドキドキしていた。
「……何それ。お前、これ以上俺をどうすんの、本当」
「え……? どうするって……」
「どうすんだよ、責任取れ」
なぜか、不機嫌そうに文句を言う瀬名先輩。
私は訳も分からず、瀬名先輩の抱擁を受け入れるほかなかった。
「解いてやるよ。お前の呪いなんか」
「え……?」
「いつか話せよ。そういう呪いは、誰かに話したときに消えてなくなる。……だから、解きたくなったら、話せ」
……瀬名先輩は時折、キラキラ、まぶしすぎて困るよ。
そんな言葉、どうして自信満々に言えるんだろう。まるで魔法使いみたいに、簡単に。
でも、なぜだろう。
瀬名先輩が言うと、本当のことのように聞こえてくるんだ。
このまま話したら、すべての呪いを解いてくれるんじゃないかって。
胸がきゅうっと苦しくなって、私はなぜか、少しだけ泣きそうになっていた。
この感情は、なんだろう。
瀬名先輩を見ていると、泣きたくもないのに涙が出てきそうになる。
彼の存在が自分とは真逆でまぶしいから? ……分からない。苦しい。
光のある方向に瀬名先輩がいる気がするなんて言ったら、彼はどんな顔をするだろうか。
泣きそうな顔で黙っている私を見て不安になったのか、瀬名先輩がピアノの演奏を止めて私の顔を覗き込んだ。
瀬名先輩の黒い瞳が、臆病な私のことを映し出す。
「……何、どうした?」
「な、なんでもないです……」
「なんでもなくないだろ、その顔。理由を言え」
しばしの沈黙が続いた。
しかし、この質問に答えないと、この沈黙は終わらないことを察知した私は、言葉にならない感情をそのまま口にしてしまった。
「せ、瀬名先輩見てると、たまに、苦しくなるんです……まぶしくて」
「なんだそれ」
「ドキドキするのに切なくて……。先輩のこと見てたいけど、見たくない……。もうよく分からないんです、こんな感情……」
そのまま思っていることを伝えると、瀬名先輩は無表情のまま固まっていた。
それから、ぐっと私の肩に片手を回して、視聴覚室のときみたいに乱暴に私を抱き寄せた。
瀬名先輩の唇が耳のすぐそばにあって、吐息が鼓膜を震わせる。
すべての時間が止まったように思えるほど、私は理由も分からずドキドキしていた。
「……何それ。お前、これ以上俺をどうすんの、本当」
「え……? どうするって……」
「どうすんだよ、責任取れ」
なぜか、不機嫌そうに文句を言う瀬名先輩。
私は訳も分からず、瀬名先輩の抱擁を受け入れるほかなかった。