カナたんは目に見えてしゅんとしてしまった。言い過ぎたかなと反省しつつも、違和感を覚えた。アニメの中のカナたんは絶対にこんなこと言わない。大人しくて、下ネタは苦手なタイプの女の子のはずだ。

「なにか、あったの……?」

 俺の質問に対して、カナたんは悲しそうに目を伏せた。

「……今日はね……直哉くんにさよならを言いにきたの」

 カナたんが発したその一言は、俺をひたすらに動揺させた。

「明日からはもう、私は直哉くんの中に存在できなくなると思うから。だから最後に、直哉くんが望むなら、たとえHなことでもしてあげたいなって思ったんだけど……やっぱり私なんかじゃ、直哉くんには喜んでもらえないよね。ごめんね」

「そうじゃないよ! なんでそういうこと言うの!? ……やっと、やっと会えたのに! 話すことができたのに! カナたんは……もう、俺のことなんか好きじゃなくなっちゃったの……?」

 泣きそうになりながら疑問を投げかける。「うん。そうだよ」とでも言われたら、もう俺は一生立ち直れないかもしれない。

 カナたんは静かにかぶりを振った。

「直哉くんのことは、好きだよ。でも、直哉くんの心を占めているのは、もう私だけじゃないでしょう?」

 何も言い返すことができなかった。カナたんの言葉は、事実だった。