「……で? 結局直哉は進路どうするの? 今のままだと国公立は厳しいんでしょ?」

「そう言われた。でもまあ、別に正社員で就職できれば大学はどこでもいいや。カナたんに貢ぐためには、少しでも多く稼いだ方がいいし」

「またカナたん……だったら尚更、良い大学出ておいた方がいいんじゃないの?」

 咲良は俺にカナたんという彼女がいるのを知っている、数少ない友人の一人だ。他にも何人かの友人に話したけれどドン引きされてしまった。親にいたっては、病院に連れて行かれそうになった。

 だけど咲良は馬鹿にしないし、引きもしなかった。ただ「まじで!? あんたに彼女……どんな女よ……」と、ちょっとふて腐れただけだった。

 こいつは胸だけ大きくて基本的にはアホだけど、人の気持ちを汲み取ってくれるから良い奴なんだと思う。

「本当はニートか専業主夫が一番良いんだけどね。一日中カナたんと一緒に居られるし。という訳で咲良! 不束者ですが宜しくお願い致します」

「そんな愛のないプロポーズ受ける馬鹿がどこにいんのよ!? ……で、でも……あ、あんたがもし、将来孤独死しそうな人生を送っているようだったら……しょ、しょうがないから私が嫁になってあげてもいいわよ! じゃあね!」

 そう言って咲良は走って行ってしまった。なんだ今の。乙女ゲーのやりすぎで変な影響を受けているのかあいつは。