帰宅と同時にパソコンのスイッチを入れ、「乙女戦争☆戦え! 文芸部!」のBDを観るのは毎日のルーティンの一つだ。カーテンを閉め、ヘッドホンを装着して、完璧に二人の世界に入れる準備を整えて視聴を開始した俺は、二秒でニヤけた。

 アバンから俺の彼女……いや、嫁のカナたんは可愛すぎる!

 全十三話、一クールのアニメが収録されているBDは、どの巻もぶっ壊れるんじゃないかってくらいに見続けているけれど、未だに顔の筋肉が弛緩しっ放しというこの破壊力! 話の面白さは置いておくとして、カナたんは全てが可愛かった。

 俺の葬式で流したい曲ナンバーワンのカナたんが歌うオープニングが始まり、軽快な曲に合わせて動くカナたんをパソコンに穴が開いてしまうほどにガン見する。

 実際に恋をしたことがない、彼女いない歴十七年のこの俺が、こんなに人を好きになってしまうなんて。やっぱり彼女に出会ったのは運命だったのだと言い切れる。


 出会いは昨年の夏。いつものように深夜アニメを見ていたときのことだった。

 夏アニメの予告CMの十五秒の映像、そこで彼女に出会った。流れる黒いロングヘアーに、清楚な顔付き、そして巨乳……! ドストライク、一目惚れだった。次元を超えて俺とカナたんは出会った。これは萌えの一言では片付けられない、本気の恋。

「さて……」

 第八話、カナたんが子猫を拾う俺の一番好きな回を見終わった後、俺はベッドに潜り込んでカナたんの抱き枕を抱きしめた。それは肌を重ねることのできない俺達に可能な、数少ないコミュニケーションの一つだった。