俺だって人から物を買ってもらうなんて不本意だ。たとえそれが五百円程度の空気入れであったとしても。
だが財布に余裕がないのは事実。手段は選んでいられない。我が家ではたとえ部活に必要なものであったとしても自己負担が原則だ。合宿用の衣類等で貯金をはたいた俺の手元にはもう雀の涙程しかお金が残っていないのだ。
「誠くん、将来は立派なヒモ男になれそうだね」
「リアルだからやめてくれ……」
「大丈夫、ダメ男になっても私が養ってあげるから……」
「じゃあ小遣いは毎月五万で頼む。家事も任せた」
「うーわっ! もうだめね、私たちはここで終わりよ。別れましょう」
「はいはい、さっさと行くぞ」
「はーい」
まるで中身のない会話をしながら俺たちは駅前を後にした。
道中、スポーツ用品店で適当なシューズとラケット見繕いすぐにテニスコートへと向かう。
今日使用するコートはちょうど十月の県大会の会場となるコート。今のうちに会場の空気を掴めるというのはありがたい話だ。
会場は駅から徒歩で三十分程の距離。
山を切り開いて作られた長い一本道を歩いたその先に位置している。ちょうど俺と冬木はその道を真っすぐ歩いているところだ。
左右には教室の天井くらいの高さもある塀があり、その向こう側には木々が生い茂っている。いかにも山を切り開いたといった感じだ。蝉の声も住宅地のそれとは比べ物にならない。
だが財布に余裕がないのは事実。手段は選んでいられない。我が家ではたとえ部活に必要なものであったとしても自己負担が原則だ。合宿用の衣類等で貯金をはたいた俺の手元にはもう雀の涙程しかお金が残っていないのだ。
「誠くん、将来は立派なヒモ男になれそうだね」
「リアルだからやめてくれ……」
「大丈夫、ダメ男になっても私が養ってあげるから……」
「じゃあ小遣いは毎月五万で頼む。家事も任せた」
「うーわっ! もうだめね、私たちはここで終わりよ。別れましょう」
「はいはい、さっさと行くぞ」
「はーい」
まるで中身のない会話をしながら俺たちは駅前を後にした。
道中、スポーツ用品店で適当なシューズとラケット見繕いすぐにテニスコートへと向かう。
今日使用するコートはちょうど十月の県大会の会場となるコート。今のうちに会場の空気を掴めるというのはありがたい話だ。
会場は駅から徒歩で三十分程の距離。
山を切り開いて作られた長い一本道を歩いたその先に位置している。ちょうど俺と冬木はその道を真っすぐ歩いているところだ。
左右には教室の天井くらいの高さもある塀があり、その向こう側には木々が生い茂っている。いかにも山を切り開いたといった感じだ。蝉の声も住宅地のそれとは比べ物にならない。