入学式は、それはもう退屈極まりないものだった。まるで頭に入ってこない校長の挨拶や、まだ聴いたことすらないのに歌わされる校歌。全てが想像通りの入学式。
教室に案内され、ホームルームで自己紹介が始まるところまでも想定内。
唯一想定外だったことがあるとすれば、それは――今朝ぶつかった彼女が同じクラスだったこと。
「はじめまして! 冬木千歳です! 私のことは千歳って呼んでください!」
彼女は勢いよく机を叩いて立ち上がると、クラス中の視線をこれでもかと釘付けにして豪快に名乗りをあげた。
まだ誰も彼もがよそよそしく、控えめな挨拶をしている中でこれだ。俺も含めたクラス中の全員が動揺交じりに彼女を眺めていた。
人は見かけによらないとはこのことだろう。
どうやら俺が抱いた儚くて大人しそうだという第一印象は的外れだったようだ。
まあそれはいいとして、問題は冬木と名乗ったこの子が俺の隣席だということだ。中央列の最後尾、教師の目につきにくいため本来ならば嬉しい位置取りなのだが、この子が隣となってはそうもいかなさそうだ。
というのも、この冬木という少女、教室に入った時からやけにこちらを見てきているのだ。俺にタックルされたのがそんなに印象に残ったのだろうか。
おかげで俺も彼女をはっきりと覚えてしまった。人の名前を覚えることが何よりも苦手な俺がこうなったのはもしかするとちょっとした事件かもしれない。
教室に案内され、ホームルームで自己紹介が始まるところまでも想定内。
唯一想定外だったことがあるとすれば、それは――今朝ぶつかった彼女が同じクラスだったこと。
「はじめまして! 冬木千歳です! 私のことは千歳って呼んでください!」
彼女は勢いよく机を叩いて立ち上がると、クラス中の視線をこれでもかと釘付けにして豪快に名乗りをあげた。
まだ誰も彼もがよそよそしく、控えめな挨拶をしている中でこれだ。俺も含めたクラス中の全員が動揺交じりに彼女を眺めていた。
人は見かけによらないとはこのことだろう。
どうやら俺が抱いた儚くて大人しそうだという第一印象は的外れだったようだ。
まあそれはいいとして、問題は冬木と名乗ったこの子が俺の隣席だということだ。中央列の最後尾、教師の目につきにくいため本来ならば嬉しい位置取りなのだが、この子が隣となってはそうもいかなさそうだ。
というのも、この冬木という少女、教室に入った時からやけにこちらを見てきているのだ。俺にタックルされたのがそんなに印象に残ったのだろうか。
おかげで俺も彼女をはっきりと覚えてしまった。人の名前を覚えることが何よりも苦手な俺がこうなったのはもしかするとちょっとした事件かもしれない。