――六月四日(木)
「よーし、今日からテニス部再開だ! 気合入れるぞ!」
授業が終わるや否や、意気揚々と宣言した。
普段テンションの低い俺が大声を出したことに驚いたのか、クラスメイトたちが怪訝そうな眼差しをこちらに向けてくる。その表情は何やら可哀想な人を見るようなものだった。
そして隣では、冬木もまた可哀想なものを見るような顔をこちらに向けている。
「ははは、どうした冬木。元気がないじゃないか」
「誠くん……現実を見よう」
冬木は悲しげに眉をひそめると白く細長い指を窓の外へ向けた。俺に現実を突きつけるためだ。
「……ああ」
言われるがまま窓の外を見た俺はたちまち現実に引き戻される。無理矢理高めていたテンションは急降下だ。
「……梅雨、だね」
「……だな」
窓の外は、土砂降りだった。
灰色の空からは絶え間なく雨粒が吐き出され、窓から見えるテニスコートを水浸しにしている。地面を叩く雨粒の音、そしていつもより薄暗い教室の空気は心地いいが、俺の気分は優れない。
「よーし、今日からテニス部再開だ! 気合入れるぞ!」
授業が終わるや否や、意気揚々と宣言した。
普段テンションの低い俺が大声を出したことに驚いたのか、クラスメイトたちが怪訝そうな眼差しをこちらに向けてくる。その表情は何やら可哀想な人を見るようなものだった。
そして隣では、冬木もまた可哀想なものを見るような顔をこちらに向けている。
「ははは、どうした冬木。元気がないじゃないか」
「誠くん……現実を見よう」
冬木は悲しげに眉をひそめると白く細長い指を窓の外へ向けた。俺に現実を突きつけるためだ。
「……ああ」
言われるがまま窓の外を見た俺はたちまち現実に引き戻される。無理矢理高めていたテンションは急降下だ。
「……梅雨、だね」
「……だな」
窓の外は、土砂降りだった。
灰色の空からは絶え間なく雨粒が吐き出され、窓から見えるテニスコートを水浸しにしている。地面を叩く雨粒の音、そしていつもより薄暗い教室の空気は心地いいが、俺の気分は優れない。