やっぱり冬木の考えていることはちっともわからない。

「ちぇっ。ちょっとくらい撫でてくれてもいいのに!」
「全然よくない」
「いいの!」
「よくない」

 俺としては一刻も早く冬木から解放されてテニスに集中したいのだが、この様子では難しそうだ。

 ともあれ目の上のたんこぶであったテスト問題が解決した今、俺を阻むものは冬木以外に何もない。その冬木も、厄介ではあるが部活中は顧問の目もあって邪魔はしてこれないようだし、そこまで大きな障害ではないだろう。

 顧問曰く「全部員のテストが返却されて、その点数が確認でき次第部活動を再開する」らしいから遅くても明日には練習を始められるはずだ。

「さーて、飯でも食うか」
「あ! 私があーんして食べさせてあげよっか!?」
「黙ってくれていいぞ」

 横からの雑音をやんわりと流して、弁当箱を開いた。