「なんで?」
「なんではこっちの台詞だ。妖怪意味不明女め」
「む、こんなにも可愛い千歳ちゃんの頭に触れるんだよ? 名誉なこととは思わない?」
「思わない」
即断してやると冬木は「はあー!」とわざとらしいため息をついてのけぞった。ため息をつきたいのはこっちだよ。可愛いのは認めてやらないこともないが、それを自分で言うところに冬木の残念さが垣間見えている。
誰か助けてくれ、なんて思うがみなみは俺たちの様子を見てくすくすと笑うばかりで助け船のひとつも出してくれない。むしろ冬木の味方をしているような気さえもする。
「でも誠、千歳ちゃんに助けられているのは本当なんだし、お礼のひとつでもしてあげたら?」
思った通りだ。妖怪お節介ババアめ、余計なことを。
とはいえこの件に関してはみなみの言うとおりだ。遠からず何かしらの形で埋め合わせはするつもりだ。
「じゃあ、今度何か奢ってやるよ」
「え! 奢る!? お小遣い五百円の誠くんが!?」
「しばくぞ」
そういう心に刺さることを笑顔で言うのはやめろ。俺じゃなきゃ今頃そこのドアを突き破って屋上から飛び降りているところだったぞ。
「あはは、冗談冗談。私がやりたくてやったことなんだから、お礼なんてしなくても大丈夫だよ」
「さっきと言ってること違ってないか?」
ご褒美が欲しいですなんて言っていたのは忘れないからな。
「あれは、うん、ダメ元で言ってみただけ」
「つまり、あわよくば本当に撫でてもらう算段だったってことか」
「うへへ」
「きもちわりい笑い方だなあ」
「なんではこっちの台詞だ。妖怪意味不明女め」
「む、こんなにも可愛い千歳ちゃんの頭に触れるんだよ? 名誉なこととは思わない?」
「思わない」
即断してやると冬木は「はあー!」とわざとらしいため息をついてのけぞった。ため息をつきたいのはこっちだよ。可愛いのは認めてやらないこともないが、それを自分で言うところに冬木の残念さが垣間見えている。
誰か助けてくれ、なんて思うがみなみは俺たちの様子を見てくすくすと笑うばかりで助け船のひとつも出してくれない。むしろ冬木の味方をしているような気さえもする。
「でも誠、千歳ちゃんに助けられているのは本当なんだし、お礼のひとつでもしてあげたら?」
思った通りだ。妖怪お節介ババアめ、余計なことを。
とはいえこの件に関してはみなみの言うとおりだ。遠からず何かしらの形で埋め合わせはするつもりだ。
「じゃあ、今度何か奢ってやるよ」
「え! 奢る!? お小遣い五百円の誠くんが!?」
「しばくぞ」
そういう心に刺さることを笑顔で言うのはやめろ。俺じゃなきゃ今頃そこのドアを突き破って屋上から飛び降りているところだったぞ。
「あはは、冗談冗談。私がやりたくてやったことなんだから、お礼なんてしなくても大丈夫だよ」
「さっきと言ってること違ってないか?」
ご褒美が欲しいですなんて言っていたのは忘れないからな。
「あれは、うん、ダメ元で言ってみただけ」
「つまり、あわよくば本当に撫でてもらう算段だったってことか」
「うへへ」
「きもちわりい笑い方だなあ」