――五月一日(金)
「今日から、部活が始まる」
屋上前の階段で弁当を片手に言い放った。
「知ってるよ?」
隣にいる冬木とみなみが同時に頷いた。
屋上前にみなみが現れてから十日、困ったことに今や完全に常連と化している。
「あ、千歳ちゃんの卵焼き美味しそう!」
「食べていいよ!」
「やったあ」
昼休みになると当たり前のようにここに来て、こんな風に我が物顔で居座りやがるのだ。
こいつらは俺の邪魔をしてそんなに楽しいのだろうか。
「もう一度言う、今日から部活が始まる」
改めて言い放つ。
昨日までかろうじてこいつらの狼藉を許していたのは単に仮入部期間だったからだ。それが終わる今、ここにこいつらの居場所はない。
「誠くんはやっぱりテニス部に入ったの?」
「当然だ」
今更そんなことを聞いてどうする。
これでよその部活に入っていたら今までの努力は何だったのだと自分を疑うぞ。
……ん? 今までの努力?
瞬時にこの一か月の記憶が脳内を流れ、俺は恐ろしいことに気が付いた。
「今日から、部活が始まる」
屋上前の階段で弁当を片手に言い放った。
「知ってるよ?」
隣にいる冬木とみなみが同時に頷いた。
屋上前にみなみが現れてから十日、困ったことに今や完全に常連と化している。
「あ、千歳ちゃんの卵焼き美味しそう!」
「食べていいよ!」
「やったあ」
昼休みになると当たり前のようにここに来て、こんな風に我が物顔で居座りやがるのだ。
こいつらは俺の邪魔をしてそんなに楽しいのだろうか。
「もう一度言う、今日から部活が始まる」
改めて言い放つ。
昨日までかろうじてこいつらの狼藉を許していたのは単に仮入部期間だったからだ。それが終わる今、ここにこいつらの居場所はない。
「誠くんはやっぱりテニス部に入ったの?」
「当然だ」
今更そんなことを聞いてどうする。
これでよその部活に入っていたら今までの努力は何だったのだと自分を疑うぞ。
……ん? 今までの努力?
瞬時にこの一か月の記憶が脳内を流れ、俺は恐ろしいことに気が付いた。