――四月二十日(月)
今日も夢を見た。
ここ最近ずっと続いている悪夢だ。もはやこれが日常になりつつある。
だが、今日のそれはいつもとは少しだけ違っていた。
「……冬木だ」
確認するように、今しがた見た人物の名を口に出す。
今日は夢の内容を覚えていた。といってもそれはほんの一部分だけで、大部分の記憶は既に頭の中から抜け落ちていたが。
それでも、今日は間違いなく覚えていた。
どうしてあんな夢を見たのだろう。
夢に冬木が出てくること自体に違和感はない。入学してから今日までに俺がもっとも多く言葉を交わした人物であり、前日にも行動を共にしていたのだから。
今しがた見た夢が何度も頭をよぎる。
――夢の中では、冬木千歳が泣いていた。
俺は泣いている冬木に何を言うでもなく、ただ動揺を押し殺しながらその場にいただけ。
妙にリアルな夢だった。まるで実際にその場にいたかのような鮮明さに鳥肌が立つ。
所詮は夢で、脳がただ記憶の整理をしているだけと言えばそれまでなのだが、どうにも言いようのない感覚が胸のあたりで渦巻いていた。
思えば俺は冬木のことを何も知らない。
どうして俺にばかり話しかけてくるのか、それさえもわからない。ただ気が付いたら隣にいて、気が付けば振り回されている。当たり前のように横にいることに最近では違和感すら抱かなくなった。
まるで以前から知り合いだったかのような感覚だ。
「……以前から?」
ああ、そうだ、そうだった。
俺は過去に冬木と――。
今日も夢を見た。
ここ最近ずっと続いている悪夢だ。もはやこれが日常になりつつある。
だが、今日のそれはいつもとは少しだけ違っていた。
「……冬木だ」
確認するように、今しがた見た人物の名を口に出す。
今日は夢の内容を覚えていた。といってもそれはほんの一部分だけで、大部分の記憶は既に頭の中から抜け落ちていたが。
それでも、今日は間違いなく覚えていた。
どうしてあんな夢を見たのだろう。
夢に冬木が出てくること自体に違和感はない。入学してから今日までに俺がもっとも多く言葉を交わした人物であり、前日にも行動を共にしていたのだから。
今しがた見た夢が何度も頭をよぎる。
――夢の中では、冬木千歳が泣いていた。
俺は泣いている冬木に何を言うでもなく、ただ動揺を押し殺しながらその場にいただけ。
妙にリアルな夢だった。まるで実際にその場にいたかのような鮮明さに鳥肌が立つ。
所詮は夢で、脳がただ記憶の整理をしているだけと言えばそれまでなのだが、どうにも言いようのない感覚が胸のあたりで渦巻いていた。
思えば俺は冬木のことを何も知らない。
どうして俺にばかり話しかけてくるのか、それさえもわからない。ただ気が付いたら隣にいて、気が付けば振り回されている。当たり前のように横にいることに最近では違和感すら抱かなくなった。
まるで以前から知り合いだったかのような感覚だ。
「……以前から?」
ああ、そうだ、そうだった。
俺は過去に冬木と――。