――二十分後。

「千歳ちゃん可愛い!」
「みなみちゃんこそ!」

 盛り上がるふたりの後ろで俺は死にたくなっていた。
 完成した写真に目を落とすと、グレイ型宇宙人のような巨大な目をした俺と目が合った。ピンクの背景には白い丸文字で「両手に華だね」なんて書かれている。字体からして冬木のものだろう、両手に宇宙人の間違いではないだろうか。

 しかも、「こんな詐欺同然の写真に四百円もかける理由がわからない、スマホで撮ればいいだろ」と不満をこぼしたら何故かまた苦笑いされた。

 そうこうしている間にすっかり日が暮れて、いつの間にか時計の短針は真下を指していた。

「いやーたくさん遊んだね!」

 モール内のベンチでぐっと伸びをしながら冬木が満足そうに笑った。片手には今流行りのタピオカドリンクとやらが握られている。

「私も楽しかった! また三人で一緒に来ようね」

 二度と来てたまるか!
 心の中でそう叫んだ。全力の叫びだった。