◇ ◇ ◇
休日のショッピングモールは人が多い。
駅の近くで、しかもこのあたりで一番規模の大きいモールともなればなおさらだ。どさくさに紛れて抜け出せないだろうか。
しかしそれではみなみからテニス用品を搾取できない。それをわかっているのか、みなみは「スポーツ店は最後にしようか」なんて言ってやがる。途中で俺が逃げ出さないよう手綱を握るつもりなのだろう。
「ところでお腹すかない? 千歳ちゃんはもうお昼食べた?」
「ううん、食べてないよ」
「誠は?」
ふたりして何かを期待するような目を向けてきた。
これはあれか、みんなで仲良くご飯を食べましょうって言いたいのか。
まずい、困ったぞ。
「すまん、俺はもう食ってきた……」
白状した瞬間、期待で輝いていたふたりの目が死んでいくのがわかった。
「うわあ、誠……」
「誠くん……」
やめろ、そんな「こいつ空気読めなくね?」みたいな目で俺を見るな。
「普通お昼に集合って言えば食べてから来るだろ……?」
「そっか、誠は友達少ないからこういうの分かんないか……」
「誠くん……気付けなくてごめんね……」
「やめてくれ」
ふたりして俺を哀れむな。こういう些細なところからいじめに発展していくんだぞ。
結局、ふたりが食べ終わるまでテーブルの隅でお冷を片手に待機させられることになった。もう帰りたい。
休日のショッピングモールは人が多い。
駅の近くで、しかもこのあたりで一番規模の大きいモールともなればなおさらだ。どさくさに紛れて抜け出せないだろうか。
しかしそれではみなみからテニス用品を搾取できない。それをわかっているのか、みなみは「スポーツ店は最後にしようか」なんて言ってやがる。途中で俺が逃げ出さないよう手綱を握るつもりなのだろう。
「ところでお腹すかない? 千歳ちゃんはもうお昼食べた?」
「ううん、食べてないよ」
「誠は?」
ふたりして何かを期待するような目を向けてきた。
これはあれか、みんなで仲良くご飯を食べましょうって言いたいのか。
まずい、困ったぞ。
「すまん、俺はもう食ってきた……」
白状した瞬間、期待で輝いていたふたりの目が死んでいくのがわかった。
「うわあ、誠……」
「誠くん……」
やめろ、そんな「こいつ空気読めなくね?」みたいな目で俺を見るな。
「普通お昼に集合って言えば食べてから来るだろ……?」
「そっか、誠は友達少ないからこういうの分かんないか……」
「誠くん……気付けなくてごめんね……」
「やめてくれ」
ふたりして俺を哀れむな。こういう些細なところからいじめに発展していくんだぞ。
結局、ふたりが食べ終わるまでテーブルの隅でお冷を片手に待機させられることになった。もう帰りたい。