これはあれか、もしかして罰ゲームでクラスの冴えない男子と仲良くさせられているみたいなやつか。陽キャ特有のタチの悪い遊びならやめてくれ。

「そういう、思ったことを堂々と口にしてくれるところとか、私は良いと思うなあ」
「悪口なのにか?」
「うん!」

 全力の笑顔で肯定してきた。ますます意味がわからない。
 毒を吐かれて喜ぶなんて、実はちょっと特殊な趣味でも持っているのか。

「そっち系だったか……」
「え、何か納得してる!? やめて多分それ勘違いだよ!」
「冗談」
「わかりづら!」

 さすがの俺でもそんな勘違いはしない。まあこんな棒読みで言われたら冗談に聞こえないだろうけど。

「そういえば誠くん、今日ノートちゃんととってなかったでしょ」
「見てやがったのか」

 冬木は仕返しと言わんばかりに悪戯な笑みを向けてきた。

「誠くんのことはずっと見てるよ」
「怖いからやめろ」
「あはは」

 愉快そうに笑ったかと思うと、冬木は鞄から水色のノートを取り出し、おもむろに手渡してきた。表紙には女の子特有の丸文字で「冬木千歳♡」と書かれている。