「どうやったら校内で土砂崩れが起きるんだよ」
「ははは、冬木式ジョークです!」
「なんだそれ……」

 全く意味がわからない。
 ただまあ、元気なことだけは伝わってきた。むしろうざいくらい元気だ。

「ところで口元にご飯粒ついてるぞ」
「え? あっ……」

 弾けんばかりの笑顔が一転、間抜けな声を発しながら口元に手を当てた冬木は、ご飯粒の存在に気が付くと気恥ずかしそうに俯いた。

「間抜けめ」

 危ない、つい笑ってしまうところだった。
 ころころと表情が変わっていく様子はさながら子犬のようで、どことなく愛らしい雰囲気がある。もっとも、意味不明な言動がそれを台無しにしているのだが。
 呆れつつも元気な様子に安堵して俺はスマホをポケットにしまいこんだ。