しばらく動画を確認し、集中が途切れてきた頃に時計に目をやると、あと十分足らずで昼休みが終わるというところだった。流れるように左に視線を向けるも、席の主は見当たらない。

 冬木の奴、えらく遅いな。
 突き放した手前、段々と不安になってきた。

 さっきのはいくらなんでもそっけなくしすぎたかもしれない。今頃泣きながらご飯とか食べていないだろうな……。

 結局、冬木が教室に戻ってきたのは授業開始直前になってからだった。

「……遅かったな」

 俺の後ろを通り、席に着こうとする冬木に声をかける。
 おそるおそる顔色をうかがうと、口元にご飯粒を付けた冬木がきょとんとした顔でこちらを見ていた。

「え? どうしたの? そんな真剣な顔して」
「い、いや、何でもない。気にしないでくれ」

 どうやら杞憂だったらしい。

 一瞬でも「傷つけてしまったのでは」と心配した自分が馬鹿みたいだ。

「あ、もしかして私の帰りが遅かったから心配だったとか!? 土砂崩れに巻き込まれたとか思っちゃった!?」

 何を思ったのか、冬木はさぞ嬉しそうにまくしたててきた。微妙にいい線ついているのが腹立たしい。