体が痛むからいつものように豪快には笑えないけど、それでもしっかり笑ってみせると誠くんもどこか安心した表情を見せてくれた。

「そうだ千歳、手は動かせるか?」

 ふと何かを思い出したように誠くんが手を突いてくる。

「うん。左手だけならかろうじて。どうして?」
「ならこれを受け取ってくれ」

 誠くんはポケットから何かを取り出すと、おもむろに手渡してきた。

「これって……」
「そう、ネックレスの残骸だ」

 ネックレスのハート部分だけが私の手の平にある。チェーンは無く、肝心のハート部分も傷だらけで歪んでいた。

「土砂崩れに巻き込まれたお前を助けるときにたまたま回収できたんだ。ボロボロだけど、持っていてほしい」
「うん……! もちろんだよ」