……よかった。

 確認を経て、改めて安堵する。
 そっか、私は運命を変えられたんだ。

「まったく、困った子だよ君は」

 白猫は呆れたようにため息をついた。
 どうやら私のとった行動は自分で思っている以上に非常識だったらしい。

「それで、その、私たちはこれからどうなるの?」

 率直な疑問を口にした。
 誠くんの運命を変えた今、私はもうこの世界のルールを知っていていい存在ではないはず。 

「そうだねえ。とりあえず、しばらく経ったらボクやこの世界に関するルールの記憶は消させてもらうよ。もちろん君が時間を遡ったという記憶もね」
「そっか……」

 これも世界のルールなのだとか。
 私たちの記憶は書き換えられ、高校で出会って仲が良くなって、それでたまたまた事故から誠くんを助けたということになるらしい。
 
「その代わり、記憶が消えるまでの間は彼と好きなだけ話すといいよ。これまでの君の行いや、君が彼と過ごした本当の半年間の想いをね」

「全部話していいの?」
「いいよ。その代わり他の人には聞かれないでね」

 よかった。それなら少しだけ救われる。
 たとえ記憶が消えてしまうのだとしても、私たちは運命に抗ったのだと、誠くんと想いをともにできるのならそれはきっと素敵なことだ。

「そうだね。ともあれ、おめでとう。あまり褒められた手段ではないにしても、結果的に君は彼の運命を変えたんだ。胸を張っていい」
「胸を張れ……かあ~!」