これが私たちの運命、これが結末。
 そんなの、ここに向かうことになってしまった時点でわかっていたこと。

 こうならないために、私はこの半年間頑張ってきたんだ。
 だけど結果としてこうなった。

 どうあっても事故は避けられない。
 この日、この場所で悲劇が起きる。

 でも、でもね。
 たったひとつだけ、あるんだよ。誠くんが助かる方法が。

 私は何度も深く、繰り返し息を吸う。
 あの祭りの夜、誠くんが私を追いかけてくれて、もう一度私に戦う勇気をくれた瞬間に、私は決めていたんだ。

 もしもこうなった時、私はあることをすると、そう決めていた。

「誠くん」

 もう時間がない。

「……なんだ」

 だから、たったひと言だけ、大切なことだけを告げる。
 私は胸元のネックレスを握りしめて、再び大きく息を吸う。そして、

「大会で優勝したら、友達になってね」

そう言って、私は誠くんとみなみちゃんをありったけの力を込めて突き飛ばした。

――直後、物凄い衝撃とともに視界が真っ暗になった。