「わあ! あからさまに嫌そうな反応!」

 笑顔でこちらを見つめるのは隣席の主、冬木千歳だった。胸元のネックレスがキラキラと小窓からの光を反射して目が眩みそうになる。

「お昼、私もご一緒してよろしいかな?」
「よろしくないな」
「では遠慮なく!」
「おい、話聞いてたか?」

 冬木は聞こえないフリにしては下手くそすぎる演技で横に腰かけてきた。
 何故ここがわかった。
 というより、どうして俺なんだ。他に話しかけやすそうな相手ならいくらでもいるだろうに、わざわざ俺のところに来る理由はなんだ。
 もしかして友達いないのかこいつ。

 それともあれか、ヒナ鳥みたいに最初に見た人間に懐くとでもいうのか。どちらにせよやめていただきたい。

「何をしにきた」
「お昼を食べようと思って」

 弁当箱の包みを解きながらさも当たり前のように答えてきた。
 ほぼ初対面の相手によくもまあここまで堂々と振る舞えるな。一周まわって尊敬できる。