「さて、本題に入ろうか財前誠くん。君の運命についてなんだけど」

 ごくん、と誠くんは唾を飲んだ。

「今のところグレーなんだ。助かるかもしれないし、助からないかもしれない。ちなみにさっき言ってた道を変えるっていうのは無意味だよ。この世界には運命の強制力というものがあってね、まあ詳しくは割愛するけどとにかく君が大会に行けば事故は起きる」

「じゃあ俺はどうすればいいんだ?」

 誠くんの問いに答えることなく、白猫は横目で私を見やった。代わりに答えろということらしい。

「……一番いいのはここから離れないことだと思う」
 
 未来のことに触れないよう注意しつつ答える。

 外に出れば些細なことが原因であの場所に向かわされる可能性がある。だから今日は何があってもこの家から離れないのが最善。

 私と誠くんが強い意志を持ってそうすれば結末は変えられるはずだ。
 白猫もそれが最善と言わんばかりに頷いていた。

「誠くんにとって大会がどれだけ重要なことなのかは今の私にならわかるよ。だけど、チャンスは今回だけじゃない。お願い、私は誠くんに生きていてほしいの」

「……そう、だな。ああわかった。冬木の言うとおりにするよ」

「ふたりとも方針は決まったようだね。それじゃあふたりとも心の中で強く、何よりも強く決意するんだ、どんなことがあってもここから離れないと。その決意の強さが現状どっちつかずの運命を変える鍵になるかもしれない」

「うん……!」