私の精神はもうボロボロだ。自分を責めるなと言われても罪悪感は消えない。焦りも不安もずっと胸の内にある。そこは変わらない。

 だけど、それでもやっぱり、私は誠くんを諦めることはできない。
 だって私は、誠くんと友達になるのだから。

「邪魔するのは、今日でおしまい!」

 精一杯の声を振り絞って私は立ち上がった。

 勝つんだ。
 私は運命に、そして誠くんはこれから果たすべき約束に。

 だからもう邪魔はしない。そして、それは決して彼の運命を諦めたということではない。事故を回避して大会も優勝する。
 それが、私が決めたふたりの運命だ。

 それから私はできる限り誠くんの手助けをした。大会まであと一ヵ月、残された時間はあまりにも短い。

 依然として心はボロボロで、もう明るい冬木千歳を演じる余力もない。かろうじて手足を動かしているような状態だ。

 それでも、私は足掻こうと思う。

「……どう? 運命は変わった?」
「……さて、どうだろうね」

 ――そして、ついに私たちはその日を迎えることになった。