普段明るい私がこんな様子だから気を遣ってくれたのだろうけれど、誠くんが使った気が私に圧しかかって余計に気が重たくなった。

 彼の言う綺麗なネックレスとやらをくれたのは、他でもない誠くんだというのに。

 お前にあげたネックレスのことなんて覚えてないぞと、面と向かって言われたようなものだ。

 再び沈黙が訪れる。

 いっそのこと強引にでも泣いている理由を訊けばいいのに、それをしないのが誠くんだ。時間跳躍前も「どうした?」と聞いてくることはあっても「話せ」と強要してくることはなかったし。

 きっと無理に話を聞くのは嫌だと思っているのだろう。いじめられていることを話した時も私の方から打ち明けたし。きっとこれは彼なりの気遣いなんだと思う。

 今だって無言ながらも私の傍からは離れようとしない。
 そういうところ、前と変わらないなあ。

 ――あ。

 そこまで考えて、私は唐突に理解した。

 ……なんだ、ちっとも変ってないや。

 私のことを覚えてなくても、呼び方が違っても、目の前にいる誠くんは泣いている私に寄り添ってくれた、あの誠くんと同じだ。

「……ぷっ」

 理解した途端、何故だか元気が出てきた。