しかしそう考えると私のネックレスはかなり危険な物ではないだろうか。これはいわば彼と私の未来そのものなのだから。

 私がネックレスを持っていきたいと言った時、白猫が「あまり良くない」と言っていたのはこれが理由だったんだ。

「そういうこと。まあネックレスを見ても君のことを思い出さなかったとおり、簡単に記憶が戻ることはないからあまり怖がらないでいいと思うよ。中途半端に思い出しそうになっても彼の肉体がそれを拒んで頭痛とともにすぐ忘れちゃうだろうし」

「じゃあ、もし今後このネックレスが原因で誠くんが私のことを思い出したらそれもアウト?」

「状況によるね。線引きが難しいんだけど、彼が勝手にネックレスを見て勝手に思い出すぶんには大丈夫。でも君が「これ誠くんから貰ったんだ」なんて言いながら見せびらかすのはアウトだし、「大切な人から貰ったんだ」みたいに少しぼかすのはグレーゾーン、って感じかな。結論としては君が口さえ滑らさなければ大丈夫ってこと」

 まあ難しいだろうけどと付け加えて白猫は息をついた。

 確かに二日目にしてボロを出してしまった私がこのネックレスをずっと身に着けるのはやや恐ろしくも感じる。白猫があまり良くないと言うのも納得だ。