「あ、ああ……」

 ようやく、涙がこぼれてくる。
 今まで出てこなかった分を取り返すように、まるで波のように押し寄せてきて、嗚咽とともに胸が詰まっていく。

「ぅあああああ――っ」

 声も涙も、抑えられなかった。

「私を、私をひとりにしないで……」

 そう呟いてみても、誰も言葉を返してくれない。ただ屋上前の静かな空間で私の声が虚しく反響するだけ。

 楽しかったはずの生活は、あっという間に地獄に移り変わった。

「おい千歳」

 金髪を揺らしながら、楽しそうに私をなぶる人がいる。一番呼ばれたくない人に名前を呼ばれる。逃げ場なんてどこにもない。

 助けてくれる人も、居場所を与えてくれる人も、もういない。
 みなみちゃんもずっと連絡がとれない、もうずいぶんと学校にも来ていないようだった。

――死のう。

もう、何もかもがどうでもよくなった。