会話はなかった。私から話を振るのは苦手だし、彼の方も私が座って以来スマホから目を離す気配がない。しんと静まり返ったやや薄暗い空間で私たちはずっと無言だった。
正直なところ気まずさはあったけれど、いじめられているよりもずっといい。昼休みが終わるまで私たちはひと言も言葉を交わすことはなかった。
それが私と誠くんのファーストコンタクト。
昼休みが終わり、ふたりで席につくとどうしてか誠くんがえらく驚いたような表情をこちらに向けてきていた。
「……ど、どうしたの?」
何かしてしまったのかとつい不安になる。
すると、彼は信じられないことを口にした。
「お、お前、同じクラスだったのか……!」
「ずっと隣だったのに知らなかったの!?」
驚きのあまり比喩ではなく人生で一番大きな声が出た。といっても、それでも普通の人が喋るくらいの声量なのだけど。
「すまん、俺いつもスマホしか見てなかったから……」
「うん、それは知ってる……」
変な人、という彼への第一印象が完全に固定された瞬間だった。
「……ふふ」
直後、何故だかおかしくなって笑みがこぼれてきた。ほんの少しだけ学校が楽しいと思えたのはこの時が初めてだったかもしれない。
正直なところ気まずさはあったけれど、いじめられているよりもずっといい。昼休みが終わるまで私たちはひと言も言葉を交わすことはなかった。
それが私と誠くんのファーストコンタクト。
昼休みが終わり、ふたりで席につくとどうしてか誠くんがえらく驚いたような表情をこちらに向けてきていた。
「……ど、どうしたの?」
何かしてしまったのかとつい不安になる。
すると、彼は信じられないことを口にした。
「お、お前、同じクラスだったのか……!」
「ずっと隣だったのに知らなかったの!?」
驚きのあまり比喩ではなく人生で一番大きな声が出た。といっても、それでも普通の人が喋るくらいの声量なのだけど。
「すまん、俺いつもスマホしか見てなかったから……」
「うん、それは知ってる……」
変な人、という彼への第一印象が完全に固定された瞬間だった。
「……ふふ」
直後、何故だかおかしくなって笑みがこぼれてきた。ほんの少しだけ学校が楽しいと思えたのはこの時が初めてだったかもしれない。