――十月十八日 県大会当日

 朝、自分の叫び声で目を覚ました。
 信じられない程の悪夢。

 起き上がると、冷たくて嫌な汗が頬を伝って手元にこぼれ落ちてきた。
 やがて呼吸を整えるうちに、ひとつの異変に気付く。

 なんてことはない、覚えているのだ。今見た夢を、はっきりと。
 そして、これまで見た悪夢の全てを思い出した。

 同時に理解する。いや、理解してしまった。
 どうして毎日のように悪夢を見ているのか、何故たびたび頭痛が襲ってくるのか、冬木の様子がおかしい理由は何なのか。

 今見た夢が、全ての答えだったのだ。
 いいや、これは夢なんかじゃない。

 これは現実だ。
 これから起こる、俺の未来だ。

 そうだ、俺は、俺は――。
 俺はこれから、事故に巻き込まれて――死ぬんだ。