「――だから誠くんは、いつもひとりで居ようとするの?」

 話を終えると、冬木は確認するようにそう訊ねてきた。

「そうだ。だから俺はまだお前とは友達になれないし、なるわけにはいかない。だけど、この気持ちだけは伝えておきたかった」

 あの時言っておけばよかった、などという後悔をするのはもう嫌だ。想いというのは、伝えられるうちに伝えなければ何の意味もないのだ。後悔してからでは遅すぎる。

「まあ、なんだ。お前が俺の邪魔をしてようがなんだろうが、俺はお前のことを良い奴だと思っているし、友達になりたいとも思っている。だから自分を責める必要はない」

 それに、少し邪魔をされたくらいで優勝を逃すのなら所詮俺はその程度だったということなのだろう。要は勝てばいいだけの話だ。

「そっか、ありがとう……。正直まだ自分のことを許せていないけど、でも、なんだか私……今、すごく嬉しいや」
「そりゃあなによりだ」

 安心したのか、隣から聞こえてくる声はもう震えてはいなかった。
 これで一件落着といったところだろうか。

 いや、まだ大事なことがひとつあった。