「もう空は真っ暗になったな」
時刻が八時を回った頃、会場から少し離れた小さな公園のベンチで空を見上げた。街灯と月明りだけが頼りの暗い公園はどこか涼しげで、祭りで昂った心を落ち着けてくれる。
「花火まであと三十分だね」
隣に座る冬木が今か今かと待ち遠しそうに何度もスマホの時計を確認している。
周りにもこの場所で花火を見ようとしている人たちがちらほらといる。それでも祭り会場ほどの密度ではないため比較的穴場と言えるだろう。もっとも、公園を出ればすぐに人の群れだが。
「私は花火を見たらすぐ帰らなきゃ」
「みなみは家が厳しいもんな」
「うん、誠も一緒じゃなきゃ祭り自体許してもらえなかったと思う」
「だろうな」
幼馴染で家族ぐるみの付き合いもあるから知っているが、みなみの両親、特に父親は超がつくほど過保護だ。携帯は持たせない、ゲームもアニメもダメ。
祭りなどのイベントも怪しい人が多いからという理由で基本的には禁止。俺が同伴する場合を除いて、こういった場所にくる機会はほとんどないといってもいいだろう。
「じゃあ来年も誠くんを連れ出して三人で来ようよ!」
「うんうん、そうしよう。よろしくね誠」
「といっても、誠くんのことだからどうせ嫌がるんだろうけどね!」
「よくわかっているじゃないか」
今日の祭りだって元はと言えば長期休暇中の冬木からの妨害を阻止するためにとりつけた約束だしな。
頷くと、冬木は「ほらね!」と笑いながら肩をすくめた。
時刻が八時を回った頃、会場から少し離れた小さな公園のベンチで空を見上げた。街灯と月明りだけが頼りの暗い公園はどこか涼しげで、祭りで昂った心を落ち着けてくれる。
「花火まであと三十分だね」
隣に座る冬木が今か今かと待ち遠しそうに何度もスマホの時計を確認している。
周りにもこの場所で花火を見ようとしている人たちがちらほらといる。それでも祭り会場ほどの密度ではないため比較的穴場と言えるだろう。もっとも、公園を出ればすぐに人の群れだが。
「私は花火を見たらすぐ帰らなきゃ」
「みなみは家が厳しいもんな」
「うん、誠も一緒じゃなきゃ祭り自体許してもらえなかったと思う」
「だろうな」
幼馴染で家族ぐるみの付き合いもあるから知っているが、みなみの両親、特に父親は超がつくほど過保護だ。携帯は持たせない、ゲームもアニメもダメ。
祭りなどのイベントも怪しい人が多いからという理由で基本的には禁止。俺が同伴する場合を除いて、こういった場所にくる機会はほとんどないといってもいいだろう。
「じゃあ来年も誠くんを連れ出して三人で来ようよ!」
「うんうん、そうしよう。よろしくね誠」
「といっても、誠くんのことだからどうせ嫌がるんだろうけどね!」
「よくわかっているじゃないか」
今日の祭りだって元はと言えば長期休暇中の冬木からの妨害を阻止するためにとりつけた約束だしな。
頷くと、冬木は「ほらね!」と笑いながら肩をすくめた。