静かな店内。木目調のテーブル。
優しい雰囲気のあるカフェで私は先ほど注文した紅茶を飲む。
今日は友美の兄、優人さんとの打ち合わせ。
優人さんはこんなおしゃれなところによく行くんだな。と周りを見渡す。
小さな音で聞こえる音楽も心を落ち着かせてくれる。

そういえば優人さん、息子を連れてくると言ってたな。と思い出す。
きっと優人さんのように優しくていい子なんだろうなと想像する。
「お待たせ里美ちゃん」
　振り返るとそこには優人さんが立っていた。
私はその場に立って「こんにちは」と挨拶をする。
その後に気配を感じた私は優人さんから視線をずらして後ろにいる誰かを見る。
その瞬間私の行動は止まった。
「え……」
　言葉を失って口をぽかんと開ける私。
それもそのはず、立っていたのは合コンであった結月だった。
結月も私のことを見て目を見開いた。
でもすぐに視線をスマホへと変え平然を装う。
「あ、僕の息子の結月」
　なんて返したらいいかわからないまま私は会釈だけする。
優人さんは何も知らないまま私の斜め前の席に座る。
そうすると必然的に結月が私の目の前に座る。

頭の中で首を振って私は我に返ったように考えたアイデアを優人さんに伝える。
優人さんは「いいね」とか「やっぱり里美ちゃんはすごいね」と私の提案に乗ってくれる。
その横で結月は黙って聞いているだけだった。

　話がひと段落したころに優人さんの携帯が鳴る。
「ごめん。ちょっと出るね」
そう言って優人さんは席を外した。
二人だけの空間になり、何から話すべきか考え始めた。
これは何……
その謎が深まる私だった。