11月終わり。とうとう冬という人恋しい季節がやってくる。
それでも私の毎日は変わらない。
いまだに一彦と会い続けている。
そんな中で毎日連絡してくる結月。
結月は一度忠告をしてくれた。
その忠告を聞いていればもしかしたら変わった毎日を過ごしたかもしれない。
でも、それでも変わらないと思う私がいた。
だからまだこの関係があるのだろう。

 仕事が終わり、外に出るとかなり冷え込んだ寒さが私の体の熱をとる。
でも、その寒さに負けないくらい私の中で葛藤があった。
今日は一彦と会う日だった。
確かに最近はこのままでいいのか迷うことがある。
でも会ってしまうと不思議とその気持ちがなくなってしまう。
それが葛藤の原因。

 一度深呼吸をしてから歩き出そうとすると、そこには結月が立っていた。
「何してんの」
 いつも通り冷たい態度をしてしまう私。
どうにかその冷たい態度も変えたいと思うようになっていた私はまた同じことをしているために心の奥でため息をつく。
だが、私が見た結月の顔は今まで見たことないほどの真剣な顔だった。
肩を上下に揺らしているところからすると走ってきたことがわかる。
「ちょっと、どうしたの?」
 私はさすがに心配になって近くに近づこうとした。
「本当に別れた方がいい」
「え……」
 真剣な顔つきといつもの結月が出さない低くてでもどこかで焦る声。
その結月が私と一彦のことを言うため少し私にも緊張が走る。
「急にどうしたの?」
 私が首をかしげてその状況から目を背けようとすると結月は大きく息を吸った。
「今すぐに別れた方がいい。もうこれ以上は傷つくだけだから」
 なぜ結月がそこまで言っているのか。
もしかしたら私は気づいていたのかもしれない。でもその時は目を背けたくて逃げていたんだ。
「そんなのとっくに傷ついてるよ」
 私が結月の横を通ろうとすると結月は私の手を掴んだ。
「後悔して傷つくんだよ!」
 結月の強い口調に私は驚いた。
それでも私は手を振り払った。

そのあと私は振り返ることができなかった。
結月がどんな顔をして私の姿を見たのか。
見たらきっとその場から動けなくなるような気がしてそのまま足を動かした。