私は人の笑顔のきっかけを作ることに憧れてこの仕事を選んだ。
それが、ウェディングプランナー。
大変で時折、投げ出したい気持ちになるがそれでもこの仕事が好きなんだと思う。
だから仕事にも力が入る。
この仕事についてもうすぐ十年。
それでもこの仕事は緊張しながらやっているから不思議だ。
「都築さん」
　後輩が私の苗字を呼んで困った顔をしている。
こんなに頼られるようになったことも嬉しい。
でも、裏で私はこの仕事に対して罪悪感を感じていた。

　秋が冬に変わるのを告げるように夜の風は冷たかった。
その中を少し早歩きで進む。
公園の時計台を見つけて私は笑顔になる。
先ほどよりも早く歩いている私。
その理由は早くその下で待っているであろう人に会いたかったから。
でも、そこに行ってもまだ誰もいないという寂しい景色だった。
待っている間、私の中には少しずつ罪悪感が芽生えてきた。
「お待たせ」
　その声に反応して私は後ろを振り返る。
その声の持ち主を私は数年ぶりに会うかのような嬉しさに満ちたような笑顔で迎える。
「大丈夫」
　そう言うと、笑った顔を見せてくれるのは幼馴染の一彦だ。
いつも一彦の笑顔を見ると自然と笑顔になっていく。
「ごめんね、いつもこんな感じのところでしか会えなくて」
　その一言で私に先ほどまで感じていた罪悪感が襲い掛かる。
ひと気のない公園。誰かに見つからない場所。
私と一彦は会ってはいけない関係。
「大丈夫」
　その言葉が少しか細くなる。
それに気づいたのか一彦は私にキスをする。
「見られたらまずいんじゃない？」
「大丈夫。ミサには夕飯は外で食べるって言ってあるから」
　ミサ。そうミサというのは一彦の奥さん。
私と一彦の関係は不倫関係。
この関係が罪悪感の元だ……