空腹だ。食べ物屋を探していると、笑顔の人たちがワラワラ寄ってきた。構える間もなく、四方八方から手が伸びて来た。ぎゃーと叫んだら「ダイジョブデース」と言われた。
 ワラワラ体をまさぐられて、やっとみんなどこかに行ってくれたと思ったら、持ち物がゴッソリなくなっている。
 
 集団スリだ。
 パニックになって歩いていると、ゴミ山に行きあたった。あちこちに似たようなゴミ山が出来ているが、一体何だろう。
 見てみると、ブランド物のバッグやら、時計やらが捨てられている。その中に見覚えのあるカバンが見えた。わたしのバッグが捨てられている。
 慌てて開いてみたら、財布の中身もビザも無事だった。

 このゴミ山の品は、集団スリが旅行者を襲って奪った品だろうか。でも捨てるなんて。わたしは首を傾げた。