「よく俺の事がわかったね」
「ケイム様から聞いていましたので」
「俺がこの町に来たのもわかっていたのか?」
「領地から一番近い町ですので確実に寄ると思いました」
 現在、俺は歩きながらメリーと話している。
 色々話を聞いてわかったのはこのメリーという少女は只者ではない。
 俺の長年の冒険者としての勘がそう訴えていた。
 メイド姿だがその目は俺を見定めている様に鋭さを感じる。
 体つきも女性らしいが指にタコが出来ている。
 多分、剣を持った事があるだろう。
 つまり戦闘能力もある、という事だ。
 俺より強いのは間違いない。
 あっという間に宿に到着して部屋に戻る。
「改めてですがエディ様、ご当選おめでとうございます」
「ありがとう、でも未だに実感は無いんだよなぁ……」
「それは当然の事でございます。ですが私かサポートさせて頂きます。早速ですが……」
 そう言ってメリーはバッグから紙の束を取り出した。
「な、なにコレ……」
「今後のエディ様のスケジュールとなります。まずエディ様には領地の開拓をして頂きます。それから近隣の貴族へのご挨拶、領民の誘致、議会への参加等……」
「マジか……」
 うん、言葉を失った。
 ある程度の覚悟はしていたけど、それ以上だ。
 ぶっちゃけスローライフをしながらのんびり過ごそう、と思っていたがどうもそういう雰囲気ではないみたいだ。
 ちょっと気を引き締めないといけないな。
「メリーは俺が行く領地を見に行った事はあるのか?」
「はい、既に調査を行いエディ様のスケジュールを立てさせていただきました」
 俺は書類を見ながら気になった事を質問していく。
「開拓だけど道具はあるのか?」
「はい、必要な物は既に用意しております」
「近隣の貴族って何人いるんだ?」
「主な貴族は2人、ディートハルト辺境伯とルイズミルド伯爵です。この2人とは仲良なった方がよろしいかと思います。かなりの人格者なのでエディ様の事も認めてくださると思いますよ」
「後は議会の参加、って言うのは?」
「貴族の義務の1つとして領民の代表として年に1回行われる議会で意見を出したり投票しなければいけません」
 なるほど、王族に対してNOと言う事も出来るのか……。
 とりあえずメリーから聞きたい事は聞いた。
「それでは私は一旦失礼致します」
「宿はあるのか?」
「はい、別の宿をとってありますので、明日の朝、迎えに来ますので」
 そう言ってメリーは出ていった。
「……結構疲れたな」
 出ていった後、一気に疲れが出てベッドに倒れこんだ。