ギルドのある王都を出てから1週間が経過した。
「漸く近くまで来れたな······」
 地図を便りに馬車を乗り継ぎ領地付近の町までやって来た。
「ここから先は徒歩での移動になるのか······、まぁ別に問題は無いけどな」
 今日は宿を見つけて泊まる事にしよう。
 冒険者の宿探しはとにかく料金が安い事。
 特に俺みたいな底辺冒険者は報酬なんか微々たる物。
 節約しないとやっていけないのだ。
 だから大抵素泊まりで食事は持ち込みか先に食べる。
 ······まぁ、失敗して野宿をする事もあるんだが。
「さて、宿屋は······、あったあった!」
 すぐに宿屋の看板を見つけ料金を確認、うん銅貨3枚だったら手頃な値段だ。
 早速中に入る。
「いらっしゃいませ、1泊でしょうか?」
「あぁ、素泊まりで頼む」
「かしこまりました、お部屋は102号室となります」
 受付から鍵をもらい部屋に入った。
 うん、シンプルな部屋だ。
 荷物を置いて食事をしに外へ出た。
「結構でかい町だな。此処だったら生活必需品とか揃えるかもな」
 町をブラブラしながら商店の品揃えとか見ながら考えていた。
「おっ、食堂発見!」
 そして、安そうな食堂を見つけて俺は入店した。
「いらっしゃいませ」
 店員が水とメニューを渡してくれた。
 メニューを見ながら暫し考えて店員を呼んだ。
「すいません、A定食と酒を」
「は~い、かしこまりました」
 料理を待っている最中、俺は店の中をチラチラと見ていた。
 これは長年の冒険者生活の癖で状況観察をする様になった。
 例えば、冒険者の装備とか見た目で大体何年目とかランクがわかる。
 集団だと誰がリーダーとかわかるし性格の良さ悪さもなんとなくわかる。
 ······だからと言って別に何もしないけどな。
 あくまで自己満足だしハズレてる可能性もある、そもそも人には言わない。
「お待ちどうさまでした、A定食とお酒です。ごゆっくりどうぞ」
 料理が来たので早速食べる。
 うん、美味い!
 魚のフライなんてプリプリしている。
 これは箸が止まらない。
 この店、当たりだな。
「はぁ~、満足満足」
 料金を払って食堂を出て良い気分で宿に戻る途中だった。
「すいません、もしかしてエディ・ロンバル様でしょうか?」
 後ろから声をかけられふりむくとメイド姿の少女がいた。
「そうだけど?」
「私、エディ様付き補佐を勤める事になったメリーと申します」
 へ? 補佐? メイドじゃないの?