特賞が当たった翌日、俺は城に呼び出された。
 城から迎えの人が来て立派な馬車に乗って城に向かった。
 所謂謁見の間みたいな場所では無く会議室に通された。
 室内は流石は城で装飾品が飾ってあり全く落ち着かない。
 一人で待っているとガチャと開け眼鏡をかけた人物が入ってきた。
「この度は特賞の当選おめでとうございます。私、宝くじを担当しているケイム・レイスラーと申します」
「エディ・ロンバルです。······あの本当に貰えるんですか?」
「勿論です。決して騙すとかではありませんのでご安心を」
 そう言って笑うケイム。
 まぁ、怪しい人物では無いよな······。
 で、ケイムの説明によると俺が貰える領地があるのは王都から離れた場所にある、という。
 領地と言ってもそんなに広くは無く村一個分ぐらいだそうだ。
 因みに領民は0だそうだ。
「未開拓という訳ではありません。屋敷も用意してありますしサポートをする者もおります。何せ今まで手付かずの場所だった物で······」
「手付かずって何か問題とか?」
「いいえ、ただご存知だと思いますが魔族と戦争をしていて今回の領地は魔族領だった場所なのです。まぁ、魔王軍は魔界に退陣しましたから特に問題はありません」
 元魔族領かぁ······、まさか魔王を倒した影響を受ける事になるとはなぁ。
 しかし、しがない冒険者をやっているよりのんびりした生活をするのも良いじゃないか。
 その後もケイムの説明は続き聞き終わって書類にサインをして土地の権利書、それと俺が領主である事の証明書を貰った。
 俺は『特別男爵』という地位も貰えた。
 特別男爵は特例で貴族になった者に与えられる爵位で、貴族ではあるけど一般人に近い、社交界とか貴族の集まりに無理して参加しなくても良いらしい。
 貴族の中では一番下、という事だ。
 全ての手続きを終え城から自宅に戻って来る頃には夕方になっていた。
「とりあえず、必要な物を買いに行った方が良いよな······」
 俺は馴染みの武器屋や道具屋に行き大工道具や農具等色々買った。
 それからギルドに行き領地を持った事、これを機にギルドを辞める事を伝えた。
 俺が宝くじに当たった事は既に知られていたみたいだが領地が当たった事は知らなかったみたいで驚いていた。
 その日の夜は俺の旅立ち記念で飲んだ。
 俺が腐らずに冒険者をやってこれたのはギルドメンバーが励ましてくれていたので本当にありがたい、と思っている。
 そして翌日、俺は領地へと出発した。