「では、ここからが本番です。今はゆっくりでしたが実はこのヒヨコ、魔法の道を高速移動できます。先生は私が『はい!』と言ったら右か左かどちらのコップにヒヨコがいるか、当てて下さい」
麗亜が子供のような無邪気な顔で胸を張ると、笹野は幾分冷静になった。
「溝口君の事は僕には判らないな。40人ほどいる選択科目履修生の1人だからね。指導教官でもないし、学生1人1人の事情までは知らないよ。それより、溝口君から聞いた話とい──」
「先生、集中して下さい。ヒヨコは右?それとも左?」
麗亜は笹野の言葉を遮ると、じっと彼を見据えた。漆黒の瞳が一種の威圧感を持って、笹野に迫る。それは心の奥底に罪悪感を抱えた者を怯えさせるのに、十分なものだった。
麗亜が子供のような無邪気な顔で胸を張ると、笹野は幾分冷静になった。
「溝口君の事は僕には判らないな。40人ほどいる選択科目履修生の1人だからね。指導教官でもないし、学生1人1人の事情までは知らないよ。それより、溝口君から聞いた話とい──」
「先生、集中して下さい。ヒヨコは右?それとも左?」
麗亜は笹野の言葉を遮ると、じっと彼を見据えた。漆黒の瞳が一種の威圧感を持って、笹野に迫る。それは心の奥底に罪悪感を抱えた者を怯えさせるのに、十分なものだった。