麗亜はそんなヒヨコを抱き上げて、小さく呟く。
「リリスの最上位使い魔にして、【夜の魔女の偉大なる代行者】こんな仰々しい二つ名を持つ癖に、ピヨちゃんは本来の姿より今の姿が本当にお気に入りなんだから……」

『ピィーヨ!』

“あったり前じゃん!”と飼い主に抱っこされて、ご満悦なピヨちゃん。麗亜は小さく溜め息をつきながら、額にたんこぶを作って道に伸びてる笹野を避けて歩き出した。こうして、真夏の強烈な光に焼かれながら孤独な魔女とその最強使い魔は、蒼い蝶達とともにこの夏の街を去って行った。