バッグからは夏の日差しにメタリックブルーに輝く、モルフォ蝶が一斉に飛び出して来たのだった。
「ミネラウス、アドニス、ディディウスモルフォ……揚羽やミドリシジミもいる……」
蝶たちは麗亜達の側を離れる事なく、その周りを嬉しそうに飛び交いながら髪や肩に止まる。
「ところで、ピヨちゃん、バッグの中身はどこ?」
『ピヨ?』
しばらく蝶に見とれていた麗亜は思い出したように、蒼地に白い水玉模様のヘレナモルフォが頭に止まったピヨちゃんに尋ねた。
「お財布とかポーチとかホラ、色々」
『……』
「まさか全部捨てたの!?」