笹野は頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまった。
「先生は嘘つきですが、正直に話した事もあるんですね。深雪の事は知らないって」
笹野のそんな様子に、麗亜は静に語りかけた。
「誤解があるようですが、溝口深雪は男性なんです」
「何……!?」
「さっき私が美女って言った時も先生は反論しなかった。だからあの時、確信しましたよ。少なくともここには深雪の死体はないってね」
「待て！待ってくれ！それじゃ!?」
「はい、男性と駆け落ちしたんです。まあ、女性同士でもこの多様性の時代に特別な話ではないでしょうが」
「おい、ちょっと待て！それならもしかして妻のお腹の子は……」