「その推理だけでは詰めが甘いよ。“プール”の底に死体が沈んでるかもしれない」
笹野はまたも麗亜目掛けて歩を進めた。
「変ですねぇ、先生。何でそんなに死んでもいない人達を死んだ事にしたいんですか?奥様も深雪もピンピンしてるでしょ?2人仲良く──」
「仲良くって言うな!」
「ですよね、奥様と深雪は夫である貴方を置いて2人で駆け落ちしてしまった、恐らく3週間前に……」
「……!!」
笹野はギクリと歩みを止めると声にならない悲鳴を上げた。
「女同士で……女同士で逃げるなんて到底信じられない……。僕ら夫婦は確かに愛し合ってた……。子供を持とうと治療も受けてて子宝にもやっと……」