笹野は急に教師の自覚が甦ったのか、真面目な顔で麗亜に説教をした。
「でも嘘つきという点では、先生も深雪と同じですね」
「え?」
「アレ、人間の死体じゃないですね?」
麗亜は意を決して、数メートル先の窪地に歩み寄った。麗亜が腐敗臭に、ハンカチで鼻を押さえながら覗き込むと、数百数千というモルフォ蝶がびっしりと窪地の口を覆っていた。まるで、蒼く煌めく銀河の深淵を覗くようだな、と麗亜は人知れず微笑む。
「大人2人が横たわるには十分な広さですが、人間の腐敗臭が高温多湿の温室の中で、この程度で収まる訳がない。これは果実にアルコールを掛けて腐敗を促進させた、蝶の餌場となる“プール”ですね」
「でも嘘つきという点では、先生も深雪と同じですね」
「え?」
「アレ、人間の死体じゃないですね?」
麗亜は意を決して、数メートル先の窪地に歩み寄った。麗亜が腐敗臭に、ハンカチで鼻を押さえながら覗き込むと、数百数千というモルフォ蝶がびっしりと窪地の口を覆っていた。まるで、蒼く煌めく銀河の深淵を覗くようだな、と麗亜は人知れず微笑む。
「大人2人が横たわるには十分な広さですが、人間の腐敗臭が高温多湿の温室の中で、この程度で収まる訳がない。これは果実にアルコールを掛けて腐敗を促進させた、蝶の餌場となる“プール”ですね」