「……妻と深雪、2人だと言ったら?」
「あらあら!美女2人とは、随分と欲張りで寂しがり屋な野獣さんですね!!一体、何をそんなに揉めたんですか?」
「……君こそ、蝶に聞け」
“ジリッ!”と笹野が一歩、にじり寄る。

マズイわね、笹野の目が据わっちゃってる……。

ピヨちゃん!早く来てよ!

麗亜は振り向かずに背後に合図を送り続ける。

しかし──

“ピッピー!”

砂浴びを終えたピヨちゃんは、小さな体を“プウッ!”と膨らませると、今度はシュロの木陰で丹念に羽繕いを始めてしまった。

「深雪から聞いた話はですね──」
麗亜の言葉に笹野の足が不意に止まる。