「神が創造した最高級の芸術品の1つ……。なんてね!」
麗亜は我に返ると、自分の足元からほんの数メートル先の窪地に目をやる。そこに、モルフォ蝶がびっしりと群れ(つど)っているからだ。
「綺麗だけど……。とっても綺麗なんだけど……、あんまり近寄りたくないなぁ……。やっぱり、こういう危険な仕事こそピヨちゃんに──」
麗亜はキョロキョロと小さなピヨちゃんを探す。すると案の定、ピヨちゃんは窪地から更に数メートル奥に入ったシュロの木陰で、水浴びの真っ最中だった。
「……水の匂いに惹かれてここまで来たんだね。ねぇ、ピヨちゃん!お取り込み中悪いんだけどそこの窪地に何で蝶々がたかってるのか、見に行ってくれない?」